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Monday, January 6, 2020

パンの新大陸、木更津へ! 豚一頭買いのバゲットサンド/カステット - 朝日新聞社

東京湾を横断してでも食べに行きたいサンドイッチがある。2019年12月16日、木更津にオープンした「カステット」。
看板は、豚を一頭買いして作るカスクルート(=バゲットサンド)。國吉健太シェフはパテ・ド・カンパーニュ(以下、パテカン)のサンドイッチを10年近くの歳月をかけて追い求めた。

パンの新大陸、木更津へ! 豚一頭買いのバゲットサンド/カステット

ホットドッグ、パテ・ド・カンパーニュのサンドイッチ

 パテカンといっしょに食べるパンはバゲットだと、ずっと前から決めていたという。バゲット用に國吉シェフが選んだのは、福岡県八女市で水車小屋からスタートした一子相伝の製粉会社「梅野製粉」による石臼挽きのミナミノカオリ。白い粉で割ることなく、100%でバゲットに仕上げた。

 クープの容赦なきざくざく感。香りはシリアル的だが、もう一段甘く、深く、むせぶほど濃厚なのがくる。反対に、中身は湿って、すっきり感がある。少しもちもちで、飲み込んだあと返ってくる香りがほの甘く、濃厚さの中に一息つけるさわやかさを持ち合わせる。

 ばりばりとバゲットの皮を噛(か)み破ったあとの前歯が、ぶにゅっと肉塊の中に埋もれる全面幸福。クリーミーにとけるが早いか、食い意地本能を呼び覚ます豚の香りがぶーぶーと鼻腔へと吹きすさぶ。激しい野性味は、弾け散ったバゲットの皮の吹雪を浴びつつ、まろやかなる旨味(うまみ)、甘味へと移ろっていく。

パンの新大陸、木更津へ! 豚一頭買いのバゲットサンド/カステット

バゲット

 なぜそんなにパテカンを偏愛するのか。ごはん党の國吉さんは、「おかずの友はパンじゃなくてごはんでいいだろう」と思っていた。ところがある日、修業していたブーランジュリーで、まかないとしてパテ・ド・カンパーニュを作ったときのこと。

「これだけはごはんじゃなく、絶対パンじゃないと」
 と、パンである必然性に気づいた。パン職人として、漠然と探していた「パンを作る意味」が見つかったのだ。國吉さんは、おいしいパテ・ド・カンパーニュを作れるようになろうと、フレンチレストラン「オギノ」に勤務。オギノは食材を使い切るために、デリカテッセンなども経営、さまざまな部位を余さず加工する。

 その哲学を継ぐため、カステットでは、地元・木更津の平野養豚場「林SPF」を一頭買い。ロースやバラからパテカンを手作りするのだ。

 それ以外の部位も有効利用、千葉の肉店にソーセージを依頼。これもバゲットにはさんでフレンチな「ホットドッグ」を供する。まるで麦クラッカー。チーズをかけてもう一度焼いているゆえに、ますますクリスピー。ばりばりぼりと破裂しては、立ち上る激しい麦の香り。肉味とトマトソースのあいだに鮮やかな相性がある。

「頭隠して尻隠さず」か、「能ある鷹は爪を隠す」か。黄色がひときわ目を引く「たまごサンド」は世を忍ぶ仮の姿、事実上のハムサンドである。

パンの新大陸、木更津へ! 豚一頭買いのバゲットサンド/カステット

たまごサンド

 たっぷりの自家製マヨネーズと茨城産平飼い卵の下に、自家製ハムを潜ませる。塩気も十分に放たれる強烈な肉香と脂の甘味、旨味は、マヨ&卵によってまろやかとなり、より贅沢(ぜいたく)なものへスケールアップする。

 トロペジェンヌは、フランス・サントロペのおやつパン。肉厚なブリオッシュにクリームをはさむ。クリームは白っぽいが、ミルククリームではない。木更津のオーガニックファーム「クルックフィールズ」で育てられた卵は黄身が白い特徴を持つからだ。卵の嫌味はなし。ラムの芳香が撒(ま)き散らされる中、コクではなく、みずみずしさで食べさせる。肉厚のブリオッシュが、ぽよんと弾めば、ふつふつと麦の香りがあふれだす。卵、ミルク、小麦の三位一体は実によろこばしい。

パンの新大陸、木更津へ! 豚一頭買いのバゲットサンド/カステット

トロペジェンヌ

 國吉さんは、現代の食の状況に対し、問題意識を持つ。ラスクに活用するなど、パンのロスを減らす。肉や卵をはじめとして、塩や食パンに使用するフロマージュブランも近隣で作られたものを使用する。

パンの新大陸、木更津へ! 豚一頭買いのバゲットサンド/カステット

外観

 木更津市は「オーガニックシティ」を標榜(ひょうぼう)する。前述した、広大な土地に畑や牧場やベーカリーを展開し、施設内に生命の循環を作りだす「クルックフィールズ」も開業。にわかに、木更津がパンシティに躍り出た。アクアラインで東京湾を越えれば、そこはパンの新大陸だ。

Casse-tête(カステット)
千葉県木更津市ほたる野1-31-1 エクセレント NOW
0438-77-6790
10:00~18:00 月火休
https://www.facebook.com/Casse-têteカステット-112339653471427/

カステットの國吉シェフは、クラウドファンディングを実施中。
千葉県内外で作られる安全で質の高い食材を購入するための資金にあてられる。
「想いのこもった材料でパンづくりを、木更津のパン屋 Casse-tête」
https://readyfor.jp/projects/casstete

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    PROFILE

    池田浩明

    佐賀県出身。ライター、パンの研究所「パンラボ」主宰
    日本中のパンを食べまくり、パンについて書きまくるブレッドギーク(パンおたく)。編著書に『パン欲』(世界文化社)、『サッカロマイセスセレビシエ』『パンの雑誌』『食パンをもっとおいしくする99の魔法』(ガイドワークス)、『人生で一度は食べたいサンドイッチ』(PHP研究所)など。国産小麦のおいしさを伝える「新麦コレクション」でも活動中。最新刊は『パンラボ&comics 漫画で巡るパンとテロワールな世界』(ガイドワークス)
    http://panlabo.jugem.jp/

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