残留農薬というとスーパーなどで売られている野菜をイメージする方が多いに違いないが、パンやパスタといった加工食品に危険性はないのか。市販されている商品を検査したところ、意外な結果が……。 ***
「農林水産省は2005年度から輸入米麦の残留農薬の分析結果を公表しています。これは、船積みで輸入されてきた小麦の一部を取り出して抽出検査をしたもので、結果を見ると、グリホサートの検出率が突出して高くなっていました」(農民連食品分析センターの八田純人氏) グリホサートとは、除草剤「ラウンドアップ」の主成分のこと。開発したのは、ベトナム戦争で使用された枯葉剤を作ったことでも知られる、かつて世界最大だったバイオ企業モンサント(現在はバイエル傘下)だ。 発がん性があるとの疑いを持たれているグリホサートの危険性については、本誌(「週刊新潮」)連載をまとめた『本当は危ない国産食品』(新潮新書)にて詳しく解説されているが、著者のノンフィクション作家・奥野修司氏によると、 「グリホサートの一番の問題は、腸内細菌に影響を及ぼすこと。腸内細菌の異常は、体の免疫機能やアレルギーの発症に関連すると言われています。また、グリホサートは脳神経に影響を及ぼすことが分かっており、自閉症や発達障害の原因になるとの指摘もあります」 先の八田氏は、 「最新の18年度だと、アメリカからの輸入小麦のグリホサート検出率は98%、オーストラリア産は45%、カナダ産に至っては100%です」 と言うが、なぜ輸入小麦から危険な農薬成分が検出されるのか。 「海外では収穫前の小麦にグリホサートが散布されています。収穫前の小麦に散布すると乾燥が進み、小麦の枯れ上がりが良くなるのです」(同)
価格差は100円
日本ではこうした使い方はされていない。そのため、 「市販されている小麦粉製品について言えば、国内産小麦100%であれば安心。一方、海外産の小麦が使われている場合は、基本的にグリホサートを避けることはできません」 と、八田氏は言う。 「あと、商品には小麦の原産国名の表示がないことがほとんどなので注意が必要です。小麦粉は品質の安定化のために、その都度さまざまな産地の小麦をブレンドしているため、特定の産地を表示できないのです。一つ言えることとしては、あえて国内産小麦使用と謳っている商品以外は、海外産の小麦が使われていると考えていい、ということです」 それは、実際に売られている商品を検査した結果にもはっきり表れている。掲載の表は八田氏が19年に市販されている食パンのグリホサート残留値を調べたリストだが、「国産小麦」などと書かれた商品以外には漏れなく「要注意成分」が含まれていた。これは、パスタなど他の小麦粉製品でも全く同じである。 先の奥野氏が言う。 「グリホサートの残留がない国産小麦を使用した食パンは、アメリカやカナダ産の小麦を使用したものより100円程度高いですが、その100円をどう捉えるかだと思います。例えばまだ小さい子供がグリホサートの含まれる食パンを食べ続けた時の体への影響を考えれば、100円の価格差はそれほど気にならないのではないでしょうか」 コロナ禍でスーパーに行く機会が増えた今だからこそ覚えておきたい「知識」である。 「週刊新潮」2021年3月25日号 掲載
新潮社
からの記事と詳細 ( 食べてはいけない「パン」「パスタ」の見分け方 外国産小麦には除草剤成分が(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース )
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