米高級スーパーのホールフーズ・マーケットが開設した最新店舗には、買い物客が見当たらない。客のいない店舗こそ「ダークストア」のそもそもの狙いだ。近い将来、小売店の一定割合が、こうした業態へ転換する可能性が高いかもしれない。
米高級スーパーのホールフーズ・マーケットが、客が入ることもできなければ買い物することもできない新しい「店舗」を「オープン」した。
ニューヨーク・ブルックリンに位置し、典型的なホールフーズよりも若干小さい新店舗は、オンライン注文の配送だけに対応する。オンラインオンリーを目的に設置された同社初の特設店だ。通常の店舗よりも通路が長く、サラダバーがなく、レジ横のキャンディー売り場もない店は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)中に急増したオンライン注文の商品を梱包するために使われる。ホールフーズの親会社であるアマゾン・ドット・コムは、2020年第2四半期に食料品の売上高が前年同期比で3倍に増加したと話している。
前倒しで訪れた小売りの未来
だが、これはただのパンデミック関連対策ではない。ホールフーズの幹部らによると、オンライン注文に対応するため、ホールフーズの6店舗がパンデミック中に一時的に用途を転換したが、この新しいオンライン専用店舗は1年以上前から準備が進められてきたものだ。
ホールフーズだけではない。買い物が店内からオンラインへとシフトする流れに適応するため、これまで店舗や倉庫だった物理的な施設を、「ダークストア」と呼ばれる店舗に転換する小売店が増えている。実際には、受け渡しや宅配のためにオンライン注文を梱包することができる、小型倉庫のようなスペースを増やしているのだ。小売業界の専門家は、これは大きなトレンドの始まりにすぎないと話している。
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