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Thursday, February 6, 2020

フードロスに挑むには、テックのインテグレーションが必要だ | WIRED - WIRED.jp

「もったいない精神」発祥の地、日本でなぜこんなに食品ロスがあるのだろう?

先日、映画『もったいないキッチン』のウェブサイトを眺めていたら、そんな言葉が目に留まった。このほどの節分を巡っては、売れ残りの恵方巻きが大量に廃棄されるのを防ぐために、需要に見合った量を販売するよう、国が業界団体に事前に呼びかけたことは記憶に新しい。また、今年に入ってからは、JR東日本系の企業が東京駅構内の店舗で、売れ残った食品を従業員向けに提供する実証実験を行なっている。

フードロスはかねてから食を巡る大きな問題のひとつではあるものの、2020年に改めて深く考えるべきテーマのひとつかもしれない。国連の2015年のサミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」では、小売・消費レヴェルにおいて世界全体の1人当たりの食品廃棄物を2030年までに半減させることを目指している。世界の食料廃棄量は年約13億トン。これは、人の消費のために生産された食料のおよそ3分の1を占める。

『WIRED』日本版では、フードロスの問題に深く切り込んだインサイトを数多く提供し続けてきた。例えば、2017年の「REAL WORLD」特集では、米国ポートランド発の人気アイスクリーム店「ソルト&ストロー」が生み出すトレンドにフォーカスした。廃棄されるはずだったラムスパイスと不ぞろいなリンゴを用いたフレーヴァーは期間限定の商品で、削減できた廃棄量は限定的だったはずだ。けれども、地域密着とハンドメイドにこだわってきた同店が放ったこのレシピが、日常生活に潜む社会問題に対するアウェアネスを喚起したインパクトは大きい。

関連記事ポートランド発、廃棄されるはずだった食材から生まれるアイスクリームが教えてくれること

こうしたアウェアネスを個人の行動に結びつけることができたら、フードロス削減の効果は目に見えて現れくるようになる。その橋渡し役にテクノロジーはぴったりだ。デンマーク発の食品シェアアプリ「Too Good To Go」は、飲食店が1日の営業を終えたあとに廃棄処分を予定する料理を希望者に安く提供できるよう、マッチングをサポートする。日本貿易振興機構(ジェトロ)のレポートによると、欧州の11カ国で展開されているという。日本のアプリ「TABETE」もよく似たサーヴィスを提供し、累計で約1万7000食のロスを防いだ。

売れ残りの食べ物を目にする買い物客も実際にごみ箱に運ぶ店員も、心のどこかに「もったいない」という後ろめたさを抱えている。それをスマートフォンの画面ひとつで手軽に解決できるのは、クールなことではないだろうか。

関係者の多いサプライチェーン

生産や消費の面から食品廃棄を抑える取り組みは重要だが、フードロスの問題に取り組むうえで避けて通れないのは、このふたつの領域をつなぐサプライチェーン(流通)だ。とりわけ途上国では食品を最適な温度で冷蔵保存できず、市場に出回る前に傷むことが課題となっている。

さまざまな業者を介しながら、食品が流通していく経路を追うのは大変だ。海外の食品が、消費される国の市場に届いたあとも、汚染や破損のリスクはある。そこで、米国のウォルマートは、ブロックチェーンを用いて国内でパッケージされた製品を追跡管理している。これによって影響を受けた積み荷を特定して、それだけを抜き去ることができれば、食品の安全を保ちながら不要な廃棄を抑えることができる。

関連記事ウォルマート、食品管理に「ブロックチェーン」を導入

生産者や流通業者の経験則に頼った出荷時期の判断もフードロスの要因だ。同じ日に収穫された野菜でも、実は賞味期限は個体によって異なる。そこで、シリコンヴァレーを本拠とするスタートアップZest Labsは、ブルーベリ一やイチゴーつひとつの温度や湿度を収穫時からセンサーでモニターし、科学的なデータに基づいて鮮度を判断するデヴァイスを開発している。合わせてこうして集約した情報を市場関係者や小売店と共有できるシステムもつくり、最適な出荷を支援している。

関連記事「廃棄される生鮮食料品」にセンサーで立ち向かうスタートアップ・Zest Labs

最適な冷蔵や丁寧な取り扱いは不可欠だという前提で、食料の保存の長期化や優れた防腐技術に関する研究も進められている。例えば、Apeel Sciencesは、アヴォカドの食べごろの期間を2倍に延長できるコーティング剤を開発した。果物や野菜の外皮にもともと備わっている脂肪酸クチンの防御力を利用している。

関連記事アヴォカドの食べごろの期間が2倍に? 鮮度を保つ不思議なコーティング剤の秘密

地球規模のインテグレーションを加速せよ

多くの人たちがさまざまなレイヤーからテクノロジーを駆使して食料廃棄の問題に挑んでいる。必要なのは、こうした取り組みすべてが、インテグレート(統合)されて有機的に結びつき、ソリューションになることだ。流通の川上から川下まで、国境を超えて地球規模にわたって、密接につながり合わなければならない。

そのためのちょっとしたヒントが、フード×テクノロジーの最先端を追ったCES 2020のレポートに登場した「コンセプトキッチン」というアイデアにも垣間見える。その展示では、できるだけ無駄が発生しないような調理方法を提案したり、生ごみや排水を家庭での野菜栽培に循環させたりするキッチンが提案されていた。それはキッチンという限られたスペースにおけるソリューションであり、あくまでイメージで実装されているわけではないが、一つひとつの技術はすでに世の中に存在しているものだ。

関連記事CES2020で見えてきたフードテックの未来と実装への道

つまり、個人のキッチンから地球規模のシステムまで、そしてバイオテクノロジーを使った分解からAIを使った支援まで、いまや個々の取り組みとしてあるフードロスへのテックによる解決策を縦横にインテグレートすることこそが、この2020年代の課題だと言える。資源に対する畏敬の念が込められた日本の言葉は、いまや世界の共通語になっている。インテグレートを支えるための基本設計思想として「MOTTAINAI」は、案外有望かもしれない。

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