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Wednesday, September 1, 2021

「未来のためのパン屋さん」 高校生が売れ残り販売、困窮者支援 - 毎日新聞 - 毎日新聞

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「未来のためのパン屋さん」でパンを販売する高校生ら=横浜市南区の弘明寺商店街で2021年8月2日午後7時32分、池田直撮影 拡大
「未来のためのパン屋さん」でパンを販売する高校生ら=横浜市南区の弘明寺商店街で2021年8月2日午後7時32分、池田直撮影

 店で売れ残ったパンを買い取って販売し、得た収益を生活困窮者の支援に充てるため、神奈川県立高校の生徒たちが「未来のためのパン屋さん」と名付けた3日間限定の店舗を横浜市南区の弘明寺商店街に構えた。ボランティアではない形で生活困窮者を支援し、なおかつフードロスを防ぐ。そんな一石二鳥のアイデアは、「自分たちにできる活動から始めたい」という思いから生まれた。【池田直】

 「パンいかがですか、私たち『未来のためのパン屋さん』です」。8月初旬の午後8時を回った弘明寺商店街。日替わりでオーナーが代わる店舗「アキナイガーデン」の前で、高校生たちが呼び込みをする。

 軒先に置いた机には、レーズンブレッドやカレーパンなど数種類のパンがずらりと並ぶ。価格は正規のパン屋よりも割安だ。家路を急ぐサラリーマンや主婦たちが続々と足を止める。「これもおいしそう」「そのアンドーナツももらっていい?」。開始から15分足らずで、この日仕入れた41個のパンは売り切れた。

 企画したのは、県立横浜国際高校(同区)の有志の生徒たちでつくる「未来のためのプロジェクト」。2020年4月に結成され、昼休みや放課後に集まり、関心のある社会問題について話し合ったり、活動計画を練ったりしている。21年5月に国連が設定するSDGs(持続可能な開発目標)を考える中で、高校生としてできる活動はないかを模索した。日本のフードロス問題に着目し、「食の問題は高校生にとっても身近にある」と未来のパン屋さんを発案した。

 売れ残った食品を安く買い取り、販売して廃棄を防ぐ。そんな方法を考えていたところ、東京都新宿区の神楽坂駅前にある書店兼カフェ「かもめブックス」で営業する「夜のパン屋さん」の仕組みを知った。

 夜のパン屋さんは路上生活者の生活再建のための支援をする「ビッグイシュー日本」が運営しており、生徒たちは同社にアドバイスをもらった。学校近くの老舗パン屋「かもめパン」に協力してもらい、販売で得た収益は同社を通じて生活困窮者支援に充てることになった。

 買い取れるパンの個数や種類は日によってバラバラで品ぞろえは安定しない。食品表示法の規定で、成分表示がある商品以外は販売できないなど制約も多い。ただ同校2年の伊陽鞠(いひまり)さん(16)は「同じ商品でないことで、普段手に取らない商品を発見してもらえる」とメリットを話す。生徒らは3日間で計214個のパンを販売した。

 伊さんは「想像以上に地元の人が買いに来てくれて、人とのつながりの大切さや温かさを感じた。新型コロナウイルスの感染拡大が収束すれば、また店を開きたい」と笑顔で話した。SNS(ネット交流サービス)で取り組みを知り、購入に訪れた同市神奈川区のフリーターの女性(48)は「素晴らしい活動。こうした活動が続けばフードロスへの意識も高まるだろう」と購入したパンを抱えながら感心した様子で話した。

 ビッグイシュー日本によると、同社が直接協力して夜のパン屋さんと同様の取り組みを開催するのは初めてという。担当者は「私たちだけでは全国に展開することはできない。こうした取り組みを高校生たちが本当に実現してくれたという喜びは大きい」と感謝した。

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