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Saturday, October 16, 2021

「ハードパンが好き!」出雲から発信 自家製天然酵母のハードパン(Sデジオリジナル記事) - 山陰中央新報

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看板商品の「パン・ド・ロデヴ」

看板商品の「パン・ド・ロデヴ」

 素材にこだわった「心身に優しいもの」を提供する店が、山陰各地にオープンしている。店を訪れて感じるのは、店主たちの「良いものを提供したい」というこだわりと誠実さ。そんな「やさしいお店」を、今春入社の記者2人が訪問し、本紙とSデジの連載企画で紹介する。

▷薄い青色の爽やかな店内
 ハードパン専門店「天然酵母のハードパン コタメリ」は、出雲市里方町の住宅街の一角にある。店主は3月に大阪からUターンした栗原なぎささん。薄い青色を基調とした店内には、ヘヴィーメタル好きの栗原さんによるセレクトで、ヘヴィメタバンド「モトリー・クルー」などの楽曲が流れている。

住宅街の一角にあるハードパン専門店「天然酵母のハードパン コタメリ」=出雲市里方町

 爽やかな雰囲気の内装と力強いBGMとで、自然と明るい気分になる店内だ。栗原さんは「青が好きなんです」と話し、身につけているエプロンもやはり青色。明るくさっぱりとした印象の栗原さんによく似合っていると感じた。

 濃い青色でくっきりと描かれた店のロゴは知人のデザイナーが制作し、「ハードパン コタメリ」の文字と、力強い虎や花々のイラスト。息子の虎太郎くんを表す「虎」を囲むように、娘の芽理亜(めりあ)さんの名前の由来となった「プルメリア」の花々が描かれ、子どもたちへの愛情が伝わってくる。

▷外側はパリッと、内側はモチモチ
 店頭には約20種類のパンが並ぶ。看板商品の「パン・ド・ロデヴ」(490円)は、シンプルなハードパン。外側はパリッと、内側はモチモチの食感が楽しめる。シンプルだからこそ感じられる甘みや風味が魅力だ。人気の「食パン」は、ホップ種とルヴァン種(粉と水で作る酵母菌)、それぞれの酵母から作った2種類を販売している(ホップ種340円、ルヴァン種350円)。香ばしさと小麦粉の甘みを感じられる「バゲット」(330円)も人気だ。

約20種類のパンが並ぶ。具材入りのパンも豊富にそろっている。

 ほかにも「スペルト小麦のくるみパン」(400円)や「クランベリー&クリームチーズ」(300円)、「ソーセージ&チーズドッグ」(360円)など、具材入りのパンも豊富にそろっている。

 取材後に、「パン・ド・ロデヴ」、「ミント&レモン&ホワイトチョコ」(340円)、「あんバター」(350円)を購入した。ハードパンという言葉から、内側までバリバリとした固いパンを想像していたが、水分量が多い生地のおかげで、口の中がパサパサにならず食べやすいのがうれしい。ハードパンならではの香ばしさに加えて、モッチリとした生地の甘みも楽しめる。

 お薦めの「パン・ド・ロデヴ」はもちろん、具材入りのパンも風味豊かでおいしい。特に「あんバター」は、甘さとしょっぱさのバランスが絶妙。トーストやソフト系のパンにあんバターをトッピングしたものはよく見かけるが、ハードパンとの組み合わせは初めて見た。かめばかむほどおいしさが口に広がり、いくらでも食べられそうだ。

▷売れそうなものよりも自分が好きなものを
 栗原さんがハードパンにこだわる理由はズバリ、「好きだから」。とりわけ、看板商品の「パン・ド・ロデヴ」のようにシンプルなパンが好きだと話す。また、「ワインが好きなのですが、ワインにはハード系のパンがよく合うんです」と栗原さん。確かに、ワインのお供といえば、バケットのイメージ。上にチーズなどを乗せたり、アヒージョに浸したりと、ハード系のパンが活躍しそうだ。

営業日の前日、準備にいそしむ栗原さん

 栗原さんは「大阪に住んでいた頃、おいしいハードパンを販売しているパン屋があり、気に入ってよく通っていました。島根ではまだハード系のパンがあまりメジャーではないと感じるので、おいしさを伝えて、魅力を広めていきたい」と、意気込みを話した。以前通っていたお気に入りの店のパンは天然酵母を使用していた。自分でも作ってみようと独学で酵母作りやパン作りを学び、自家製の天然酵母パンの店を開くまでになった。売れそうなものや人気が出そうなものではなく、自身が好きなものをとことん追求し、良さを広めたいという栗原さんの情熱を感じる。

 ドライイーストを用いたパンと比べ、天然酵母を使ったパンはうま味や風味が増すのが特徴。柿やリンゴといった旬の果物やライ麦粉、レーズンなどを水につけて酵母を作り、生地に混ぜている。酵母を作る時や生地に混ぜた後は、こまめに状態を確認する。6~7種類の酵母を準備するほか、パンによって使用する酵母を変えるため、平行して作業する必要があり、営業日の前日は大忙しだ。営業日は毎週水・土曜日。11時に開店し、売り切れ次第終了する。

 「店ではなく、パン作りの先生をやってみては」との声もあったというが、「先生っていう柄じゃないし、やっぱり『自分の作ったパンを食べてほしい』という気持ちが強くて」と、店を開くことを決意した。

 開業当初は「素人が作ったパンを買ってくれる人がいるのだろうか」と不安もあったが、「自分が食べたいと思うかどうか」を基準に、自信を持って販売できる商品を並べている栗原さんの店には、多くの人々がパンを買いに訪れる。「好き」を追求する店主が作るパンだからこそ、人々の心を動かせるのだと感じた。

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